ローカルハンター ヒロ

全国を旅しながら農業や田舎の情報発信をしていきます。

分かれ道、どちらを取るか。

今、地域は分岐点に立っている。

 

少子高齢化、増加する医療介護費、伝統文化の消失・・・。衰退していくのか、それとも抗って立て直していくのか。まさに今、分岐点に立っていると言える。

 

数年前から「地方創生」というトレンドが湧き上がり、今や「働き方改革」や「一億総活躍社会」といった波に押し流されてしまった。莫大な予算を投下されたものの、なおも結果らしい結果は見受けられない。モデルケースがいくつか取り上げられるようになったが、その実果たして本当に将来的にその地域を存続させることは可能なのか。何が地域を存続させていく上で必要なのか。

 

僕も以前、「地方創生をやりたい」、と意気込んでいたのを懐かしく感じる。だから県内の様々な地域を回りたくさんの人と話して何をしたらいいのかを考えた。そこでいくつか疑問点や考えたことがある。

 

 

 

①「地方創生」は本当に必要なのか。

 

地域は本当に多くの課題を抱えている。加えて複雑極まりない原因が絡み合い、小手先だけの対処ではもはや完治どころか合併症を引き起こす可能性だってある。事実、各地域で建設された巨大商業施設を見れば分かる。予算が投下されたからといって戦略なきハコモノを作り上げ、誰がこの先その債務を背負っていくというのか。無論住民の血税である。

では、何が必要なのか。答えは簡単、「地方創生」を止めることだ。問題を抱えているのは地域だけではない。首都東京だってたくさんの問題を抱えている。霞が関からトップダウンで地域に画一的な対策案と予算を提示するのではなく、各地域でそれぞれ自分たちがどのような将来を見据えて行動していくのかを考え、それをサポートしていくのにフェーズを移行していくべきだ。地域を見る前にまずは足元を見ていただきたい。

余談ではあるが、昨日、邑南町で地区別戦略会議に参加させていただいた。11もある自治会がポスターセッションにて自分たちが今どのような問題意識を持って何を取り組んでいるのかをお互いに発表しあう場であった。これには非常に驚かされた。各自治会で何をすべきかを考え、提案し、実践に移す。そうすることによって、町から自治会ごとに予算がおりているのだ。今はまだ計画段階で今年から実践に移していくという。70、80歳のおじちゃんおばちゃんがこんな郷土にしていきたい、文化を継承していきたいと強く語る姿に僕ももっと頑張らなければ、と大きな刺激を受けた。

ボトムアップは不可能ではない。しかし、トップダウンもしかるべきには必要だ。この両者を行き来できるような、そして地域が自立していける環境を創っていかなければならない。

 

②何をもって「成功」とするのか

 

地方創生の機運が高まり、各地域に相次いでビジネス資本が流入している。サテライトオフィスが進出し、中枢機能までもが地域に拠点を移している企業すら現れ出した。各自治体には定住促進課が設置され、都市部を中心にU・Iターン者を誘致する動きも見受けられている。確かにこの動きが継続していけば、ヒトとカネの動きが激しくなり、また地場産業の担い手も徐々に増えていくことになり「数値上」の発展は望めるだろう。だが、果たして住民はそれを求めているのだろうか。住民の意思なき発展は本当に「成功」と言えるのだろうか。そもそも「成功」とは何なのか。

先日訪れた海士町で活動されている方々は口を揃えて言っていたのが頭をよぎる。

 

「この町は成功事例ではなく、『挑戦事例』なんです。」

 

これには大いに共感させられた。そもそも地域を存続させていくことに「成功」なんて存在しないのだと僕は思った。時代が移れば求められることも価値観も変わる。今上手く機能している活動が5年後、10年後には全く機能しないことだって当然考えられる。だからこそ、今取り組んでいることと時代の流れとを擦り合わせながら変化させていかなければならない。それは日々「挑戦」していくことな他ならない。住民と対話しながら。

 

 

 

もちろん地方創生を全否定しているわけではないのを理解していただきたい。ただ現状のそれでは問題解決をしていくどころか、さらに歪みを生じさせる危険性がある。もっと住民と企業、そして行政が溶け合いながらその地域の行く末を照らさなければならないと僕は思う。