ローカルハンター ヒロ

全国を旅しながら農業や田舎の情報発信をしていきます。

絡まり合う紐を1つずつ解いていこう。

先日、隠岐島海士町に行った時のことだった。

 

島全体を囲む海は正直、今まで見た中でも1、2位を争うほどの透明度であった。愛媛県南予地域の海も類を見ないぐらい美しいが、ここもまた勝るとも劣らず。しかも、その今ですらプランクトンの活発な時期であることから、時間が経てばもっと透明になるらしい。そんな美しい海に囲まれて育つ新鮮な魚介類は程よい脂身と旨味が凝縮され、最高においしく食べることができる。

 

そんな沿岸沿いをゆらりゆらりと歩いていると、目に留まったのはペットボトルのゴミ。案内をしてくれた人曰く、どこからか漂流してきたのだろう、と少し悲しげに話していた。その続けざまに、こう言われていた。

 

 

「この島は昔から半農半漁で生計を立ててきたんだ。海や畑はもはや生活に欠かせない。長い時間をかけて付き合ってきたこの海に誰よりも尊敬の念を払っているんだ。誇りとでも言える。だから、ゴミなんて捨てないんだよ。」

 

 

 

近年、プラスチックゴミの漂流が問題になっている。直近で言うと、インドネシアのバリ島の一部地域の美しいリゾート地にプラスチックゴミが漂流し、海水浴客と海の家の売り上げは6割も減少したという。この問題の厄介なところは、ゴミを拾うシステムを形成したところでなんら解決しないと言うことである。先の東日本大震災津波によってあらゆるものが流され、それらはアメリカ西海岸にまで到達しているものもあったらしい。それほど海流や風による流れは大きな力を有している。あなたが、まあいいや、と思って投げたゴミがもしかしたら遠くの地の人々を困らせているかもしれない。

 

問題解決は極めて単純には実現しない、と僕はこの時改めて思った。先にあるように、表層的な部分を問題として認識し解決策を立案、実行したところでその場しのぎにしかならない。複雑極まりない要因を紐解き、何が問題で理想とすべき状況とは何か、その狭間にチャレンジすべき領域がある。

 

これから地域農業の抱える課題をどのように解決していくか、より深く考えていく。そのために必要なことは、その問題が何によって引き起こされているのかを認識できる、ということ。この問題設定を誤らないように、これから時間をかけて深めていきたい。